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◆テーマ：日本における給付付き税額控除の可能性
・報告：森信茂樹 「給付付き税額控除の新たな展開」（60分）
・パネルディスカッション 日本における給付付き税額控除の可能性（30分） パネラ－：田中秀明、三木義一
１．アベノミクスによる中間層の二極化」と「シルバー民主主義への反発」を背景にSNSを活用して「財政ポピュリズム」が誕生した。「103万円の壁」に焦点が当たるが、就労を増やすために税・社会保険料負担をどう設計すべきかという大きなビジョンの下で考える必要がある。
２．問題は「働き始めると税・社会保険料負担が生じ手取りが減るポバティ―トラップ（貧困の罠）」。高水準の失業手当がある欧州諸国では、失業手当の方が得と就労をやめ失業者の数が減らなかったので、このモラルハザードをなくす政策（ワーキングプア対策）として導入されたのが、税と社会保険料負担を一体化してとらえて給付をする給付付き税額控除（英国では給付）。
３．わが国でも、「所得が生じれば税・社会保険料を負担する」という大原則の下で、中低所得者には所得に応じて負担軽減・スムージングをしていわゆる「壁」をなくし、勤労を促進する必要がある。とりわけ社会保険料の逆進性対策につながる。
４．英国のユニバーサルクレジットは、税と社会保険料を一体的にとらえ、世帯単位で所得に応じて「給付」する制度で、積極的労働政策の一環として導入され効果を上げており、参考になる。
５．わが国では、マイナンバーが導入され、自治体システム標準化とガバメントクラウドの活用でシステムの共通化が進み、「国が設計し、地方が給付する」方式で導入できる体制が整いつつある。デジタル庁のデジタル・セーフティネット構想。（現在は縦割りでシン・ゴジラ現象」）
６．オランダでは、勤労税額控除（2010）負担した社会保険料を限度として税額控除。

講師：
●法学博士/森信茂樹
《略歴》
（公財）東京財団政策研究所研究主幹、
（一社）ジャパンタックスインスティチュート代表理事
財務省財務総合政策研究所特別研究官
1973年京都大学法学部卒業後大蔵省入省。
英国駐在大蔵省参事、証券局調査室長、主税局調査課長、税制第二課長、務課長、東京税関長、
2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務
総合政策研究所長を最後に06年退官。
その間大阪大学教授、東京大学客員教授、コロンビアロースクール客員研究員。
2010年ー2012年政府税制調査会専門家委員会委員
文化審議会委員、経産省有識者会議座長
現在　内閣官房（現デジタル庁）マイナンバーWG構成員
内閣府タスクフォース委員、日本ペンクラブ会員
《著書》
『日本の消費税　社会保障・税一体改革の経緯と重要資料』（中央経済社）
『デジタル経済と税』（日本経済新聞出版社）
『税で日本はよみがえる』（日本経済新聞出版社）
『未来を拓くマイナンバー』（共著・中央経済社）
『消費税　常識のウソ』（朝日新書）
『日本の税制　何が問題か』（岩波書店）
『給付付き税額控除』（共著・中央経済社）等。
●弁護士/三木義一
《略歴》
1950年東京都生まれ。
1973年中央大学法学部卒業。
1975年一橋大学大学院法学研究科修士課程修了。
博士（法学）。
静岡大学法学部教授、立命館大学法学部教授、ドイツ・ミュンスター財政裁判所客員裁判官、青山学院大学学長などを経て
2019年より現職。
2009年政府税制調査会専門委員。
《著書》
『日本の税金』、『日本の納税者』、『税のタブー』など。
●明治大学公共政策大学院教授、政策大学院大学大学博士（政策研究）/田中秀明
《略歴》
財務省入省、予算・財政投融資・自由貿易交渉・中央省庁等改革などに携わり、アーストラリア国立大学客員研究員、一橋大学経済研究所准教授、内閣府参事官などを経て現職
《著書》
「新しい国民皆保険」構想　慶應義塾出版会　2023
人口動態変化と財政・社会保障の制度設計共著　日本評論社　2021
財政と民主主義共著　日本経済新聞社　2017
日本の財政　中公新書　2013
財政規律と予算制度改革　日本評論社　2011など


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2025/ 4/ 8(火) 15:00～16:30


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