「相続税納税猶予割合が100%となる 特例事業承継制度の概要 -平成30年度税制改正-」パンフレットを発行しました。
「目次」


「はしがき」

事業承継税制は、平成21年の創設後、平成22年、平成23年、平成25年、平成27年、平成29年と改正され、この平成29年改正後の制度を現行税制として、平成30年度において10年間の時限措置として、特例事業承継制度が創設されました。

(1)対象株式を現行の3分の2から100%へ

(2)相続税の納税猶予割合を現行の80%から100%へ

(3)先代経営者以外の者からの承継も適用対象に

先代経営者の配偶者から後継者へ承継する場合も、贈与税・相続税の100%が納税猶予されます。この贈与者の拡大は、配偶者や直系血族においては大変望ましいことですが、直系血族以外の親族や非同族の株主においては注意が必要です。自己(贈与者)の死亡に際して、他人である後継者が相続税の申告に参加することになります。後継者は相続税が納税猶予される一方で、自己(贈与者)の相続人は、後継者が承継した自社株式も相続財産とみなされるため相続税総額の計算に影響し、相続人が負担する相続税額が増えてしまうという問題があります。

(4)最大3名までの後継者への承継が適用対象に

最大3名の後継者(=代表取締役)への承継の実現は、次世代、次々世代まで考えると、企業の事業承継としては難しい問題を抱えることになります。

(5)贈与者の複数化に伴い、最初の贈与者と他の贈与者が明確に区分されます。筆頭株主要件を充足した先代経営者が最初の贈与者となり、この最初の贈与単独で後継者が筆頭株主要件を充足する必要があります。

(6)この10年間に贈与が実行された場合に、この全ての贈与者の死亡については、期間制限なく特例事業承継制度が適用されます。

 以上が、この特例事業承継制度の概要であり、我が国の経済活動と中小企業の発展に強く影響するものであり、10年後の継続立法が強く望まれます。
 本書は、弁護士、公認会計士、税理士の専門家が企業経営者へのセミナ-の素材として活用されることを願って発刊しました。多くの専門家がこの素材を活用し、この特例事業承継制度の適用が飛躍的に増加することを願っています。
 本書の作成は、一般社団法人マルチバースの提供による条文集(措法、措令、措規、中小企業庁省令)によりました。深く感謝します。

平成30年4月10日
著者を代表して
弁護士  伊藤 良太
公認会計士  有田 賢臣
税理士  竹内 陽一



監修

伊藤 良太  弁護士(ベイス法律事務所)

共編著

有田 賢臣  公認会計士・税理士

竹内 陽一  税理士(一般社団法人FIC 代表理事)

共著

浅野  洋  税理士(しんせい総合税理士法人)

武地 義治  税理士・CFP® (税理士法人カオス代表社員)

飯田聡一郎  税理士(TSK税理士法人)

内藤 忠大  税理士

池田 真之  税理士

中尾  健  公認会計士・税理士(㈱パートナーズ・コンサルティング)

岡野  訓  税理士(税理士法人さくら優和パートナーズ)

西山  卓  税理士(西山税務会計事務所)

掛川 雅仁  税理士(掛川会計事務所)

二宮 健司  税理士

小林磨寿美  税理士

長谷川敏也  公認会計士・税理士(税理士法人アズ-ル)

佐々木克典  税理士(ひいらぎパートナーズ)

矢川 昌宏  公認会計士・税理士(YAC税理士法人)

鈴木 達也  税理士