「相続税納税猶予割合が100%となる 特例事業承継制度の概要 -平成30年度税制改正-」パンフレットを発行しました。
「目次」
- 事業承継税制(現行制度)の概要
- 事業承継税制(特例制度)の概要
- 特例承継計画の確認申請
- 特例経営贈与承継期間と特例経営相続承継期間
- 先代経営者(最初の特例贈与者/最初の特例被相続人)の要件
- 追随贈与における特例贈与者の要件
- 追随相続における特例被相続人の要件
- 後継者(特例受贈者)の要件
- 特例認定承継会社の認定要件
- 特別関係会社と特定特別関係会社
- 資産保有型会社・資産運用型会社の判定
- 後継者及び特例認定承継会社が上場会社株式等を有する場合
- 特例贈与者に相続が開始した場合の切替要件
- 現物出資等がある場合の適用除外
- 事業承継税制と組織再編等
- 相続税納税猶予額の計算(後継者が1名の場合)
- 相続税納税猶予額の計算(後継者が2名の場合)
- 特例認定承継会社が外国会社株式等を有する場合(納税猶予の適用時)
- 特例認定承継会社が外国会社株式等を有する場合(相続税の納税猶予に切替時)
- 複数の贈与者から後継者に贈与・相続が可能に
- 最大3人の後継者に贈与・相続が可能に
- 直系血族外や親族外に贈与する場合
- 納税猶予の免除
- 連続贈与(先代経営者の死亡【後】に次の後継者へ贈与)の場合
- 連続贈与(先代経営者の死亡【前】に次の後継者へ贈与)の場合
- 株式譲渡=M&Aの場合
- 株式譲渡=M&A(経営環境の悪化に伴い株価が下落している場合)
- 利子税の計算
- 担保の提供
- 特例認定承継会社の特例承継期間内の認定取消要件
- 特例承継期間後の期限確定要件
- 現行制度と特例制度の適用関係
「はしがき」
事業承継税制は、平成21年の創設後、平成22年、平成23年、平成25年、平成27年、平成29年と改正され、この平成29年改正後の制度を現行税制として、平成30年度において10年間の時限措置として、特例事業承継制度が創設されました。
(1)対象株式を現行の3分の2から100%へ
(2)相続税の納税猶予割合を現行の80%から100%へ
(3)先代経営者以外の者からの承継も適用対象に
先代経営者の配偶者から後継者へ承継する場合も、贈与税・相続税の100%が納税猶予されます。この贈与者の拡大は、配偶者や直系血族においては大変望ましいことですが、直系血族以外の親族や非同族の株主においては注意が必要です。自己(贈与者)の死亡に際して、他人である後継者が相続税の申告に参加することになります。後継者は相続税が納税猶予される一方で、自己(贈与者)の相続人は、後継者が承継した自社株式も相続財産とみなされるため相続税総額の計算に影響し、相続人が負担する相続税額が増えてしまうという問題があります。
(4)最大3名までの後継者への承継が適用対象に
最大3名の後継者(=代表取締役)への承継の実現は、次世代、次々世代まで考えると、企業の事業承継としては難しい問題を抱えることになります。
(5)贈与者の複数化に伴い、最初の贈与者と他の贈与者が明確に区分されます。筆頭株主要件を充足した先代経営者が最初の贈与者となり、この最初の贈与単独で後継者が筆頭株主要件を充足する必要があります。
(6)この10年間に贈与が実行された場合に、この全ての贈与者の死亡については、期間制限なく特例事業承継制度が適用されます。
以上が、この特例事業承継制度の概要であり、我が国の経済活動と中小企業の発展に強く影響するものであり、10年後の継続立法が強く望まれます。
本書は、弁護士、公認会計士、税理士の専門家が企業経営者へのセミナ-の素材として活用されることを願って発刊しました。多くの専門家がこの素材を活用し、この特例事業承継制度の適用が飛躍的に増加することを願っています。
本書の作成は、一般社団法人マルチバースの提供による条文集(措法、措令、措規、中小企業庁省令)によりました。深く感謝します。
平成30年4月10日
著者を代表して
弁護士 伊藤 良太
公認会計士 有田 賢臣
税理士 竹内 陽一
監修
伊藤 良太 弁護士(ベイス法律事務所)
共編著
有田 賢臣 公認会計士・税理士
竹内 陽一 税理士(一般社団法人FIC 代表理事)
共著
浅野 洋 税理士(しんせい総合税理士法人)
武地 義治 税理士・CFP® (税理士法人カオス代表社員)
飯田聡一郎 税理士(TSK税理士法人)
内藤 忠大 税理士
池田 真之 税理士
中尾 健 公認会計士・税理士(㈱パートナーズ・コンサルティング)
岡野 訓 税理士(税理士法人さくら優和パートナーズ)
西山 卓 税理士(西山税務会計事務所)
掛川 雅仁 税理士(掛川会計事務所)
二宮 健司 税理士
小林磨寿美 税理士
長谷川敏也 公認会計士・税理士(税理士法人アズ-ル)
佐々木克典 税理士(ひいらぎパートナーズ)
矢川 昌宏 公認会計士・税理士(YAC税理士法人)
鈴木 達也 税理士