同族会社が筆頭株主である場合、先代経営者の「(後継者を除いて)筆頭株主であること」という要件を満たさないため、事業承継税制を適用することができません。

対応策の1つとして株式交換が考えられます。

A社を完全親会社、B社を完全子会社とする株式交換を実行すると次のようになります。

【株式交換前】

┌───┐    ┌───┐
│ 父 │    │ 子 │
└───┘    └───┘
|        ↓100株(100%)
|      ┌───┐
|      │ B社 │
|      └───┘
↓40株(40%)  ↓60株(60%)
┌────────────┐
│     A社     │
└────────────┘

株式交換割合が1:1だとすると...

【株式交換後】

┌───┐    ┌───┐
│ 父 │    │ 子 │
└───┘    └───┘
↓40株(29%)  ↓100株(71%)
┌────────────┐
│     A社     │
└────────────┘
↑60株(※)   ↓100株(100%)
┌────────────┐
│     B社     │
└────────────┘※相互持合いにより議決権なし。

株式交換により、先代経営者(父)が、後継者(子)を除いてA社の筆頭株主となりましたので、適用要件を満たすことができました。

なお、A社が資産保有型会社に該当するか否かの判定において、A社が保有するB社株式の会計上の帳簿価額が重要となります。

株式交換によるB社株式の取得価額は、このケースの場合、企業結合指針200、236-4により、B社の簿価純資産価額となります。